白鳥町の「袈裟かけ地蔵」
袈裟がけ地蔵の実像、
● 陸前浜海道沿いの常磐白鳥町の「袈裟かけ地蔵」
次には、通常は目立たない処にある「お地蔵さん」のお話です。 陸前浜街道が常磐白鳥町に入って藤原川の蟹打橋を渡ると、間もなく街道に沿った民家のブロック塀に看板があり、其の路地の奥に地蔵尊の石仏がありますが、名称は「駒ヶ沢地蔵尊」といいます。 正式名称は、「袈裟かけ地蔵」ともいいます。
実はこちらの民家というのは我家の本家筋でもあり、父親の生家でもあるのです。 本家のことを周辺の人は愛称で「地蔵棚」と呼んでいたが、これは裏手のチョットした高台の棚のようなところに昔からお地蔵さんを祀っていたからにほかなりません。
こどもの頃は事情で一時滞在したことがありましたが、その時の小さな遊び場として楽しんだところでもあったのです。 当時の地蔵尊は、今と違って古くて今にも壊れそうなお堂に収まっていましたが、勿論、地蔵尊本体は今も昔も変らない姿で、立像で立っていました。 周りの地面は砂地になっていて、ウスバカゲロウ(当時はイッコイッコムシと称していました)の幼虫の小さなすり鉢状の巣が沢山あり、巣の中をほじくり出して幼虫を捕まえたり、悪戯したりして遊んだものでした。
この「袈裟かけ地蔵」には色々な文字が刻んであって、正面には大きな刻印で「南無阿弥陀仏」と刻んでありますが、裏面には建立者の名前や時期が刻してありましたが、その時代と言うのは何と江戸・正徳年間(1700年代初頭)と言いますから、今からだと300年以上も前の事になります。 更に刻してあるのは大勢の「〇〇童子」という文字が書かれているのが目立つのです。 童子というのは勿論、子供のことで、当時としては多くの子供たちが何らかの形で災難や不幸になった事が伺えるのです。
さて、其の「袈裟かけ地蔵」ですが、
其の看板には奇妙なことが書いてあるのです。 先ず、丈の長さは1m50cmほどあるそうで、かなり大きめの地蔵尊ですね。
『 昔、この地蔵堂に夜な夜な怪しいものが現れて 通るものを悩ましていたそうです。 その噂が殿様の耳にまで入るようになりました。 ある晩、殿様の命を受けた染山某という剣の立つ武士が、怪物退治にやってきました。 地蔵堂に来てあたりをうかがうと 怪物が現れて染山氏へ挑んできたそうです。 氏は、腰の一刀を抜く手も見せずに怪しきものを袈裟がけに切り倒したそうです。 殿へその旨を報告して 夜明け早々に その場を検分すると石の地蔵が袈裟がけに切り倒されていたそうです。 今でもこの地蔵様には、袈裟がけの切り痕があるそうです。 』
確かに、赤い袈裟を捲ってみると肩から胴にかけて 袈裟掛けに切り割かれている痕跡(傷跡)が鮮明にあるのです。 スパッと鮮やかにに切られているのに不思議と崩れ落ちることもないようですし、顔立ちは風雪の傷こそ目立ちますが、柔和な仏の顔をしたお地蔵様でした。
● 民間信仰の地蔵菩薩とは、
そういえば、白鳥町のお地蔵さんは大勢の「〇〇童子」という文字が書かれているのが目立つのですね。 元より地蔵菩薩、お地蔵さんと言うのは子供の救済の仏さんでもあるのですね。 よく村や部落の辻々で道祖神として子供を護るための仏として信仰されたのでしたが、大元の仏教的な意味合いですと、女性の胎内、とか子宮とかいうような意味合いがあり、意訳すると「地蔵」としているとされています。 大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々を特に子供たちのその無限の慈悲の心で包み込み、救う所から名付けられたとされています。
日本における民間信仰では、道祖神としての性格を持つとともに、「子供の守り仏」として信じられており、地蔵仏にはよく子供が喜ぶような飾り物やお菓子が供えられている。 一般的に、親しみを込めて「お地蔵さん」、「お地蔵様」と呼ばれているのは御承知ですね。
お地蔵さんは平安期のころから信仰されていたそうで、現在でも観音菩薩と同様に、子供の守護・救済の地蔵菩薩の仏として深い信仰があります。 ちなみに、菩薩は如来に次ぐ高い地位(他に明王、天などがある)にある仏だが、地蔵菩薩は六道(人の善悪の所業など)を自らの足で行脚し、救われない衆生、特に親より先に死去した幼い子供の霊を救い、旅を続けているとされています。
幼い子供が親より先に死ぬと、親を悲しませるだけで親孝行の功徳も積むことができないことから、三途の川を渡れず天国にも行けない、賽の河原で鬼のいじめに遭う友とも言われています。 お地蔵さんは、そんな子供たちの災難い合わないように、賽の河原に率先して足を運んでは、鬼から子供達を守り、仏法や経文を聞かせて徳を与え、成仏への道を開いていくという逸話もよくしられています。
賽の河原とは、親に先だって死んだ子供が苦を受けると信じられている冥土(めいど)の入り口にあるにある河原のことで、ここで子供が小さな石(ケルン;道標や記念として石を円錐形に積み上げたもの)を積んで塔をつくろうとすると、鬼がきてそれを崩し子供を責めさいなむとされているところ。 其の時に地蔵菩薩(じぞうぼさつ)が現れて子供を救い守るという。 賽の河原には子供が積み上げた意志等やお地蔵さんを祀ってある。
此のように、地蔵菩薩は最も弱い立場の人々や子供たちを最優先で救済する菩薩でもあることから、古来より今日まで絶大な信仰の対象となっているのです。
次回も陸前浜街道の名所、
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